イケメン様の隠し事
王子と王子が!!
で、今は貴也に今日あったことを話していた。
「え!?谷がお前のこと気づいてた!?」
「あーもーいちいち反応がうるせーなぁ」
「わ、わりい…じゃぁ、ホントにお前のこと好きだったんだな………」
「ってそこかよ。もっと別なことあんだろ……」
「あ!学校にバラされる!?」
「いや、バラさないって」
「ふーん………お前を好きになるなんて、物好きもいるもんだな……」
そう言いながら貴也は自動販売機のボタンを押した。
「お前、俺のこと馬鹿にしてんの?」
「んなわけねーだろっほら、全員分買ったし行くぞ?自分のと谷の持ってけー」
「貴也の分際で俺に指図すんのかよ…」
ムスッとむくれながら貴也のケツを軽くける。
「2人共おっそーいー!」
「わりわり!淳が何飲むか迷っててさ!」
「あぁ?俺のせいにすんじゃねーよクソ」
「す、スミマセン………」
俺は涼太の隣りに座り買ってきた飲み物を渡した。
「淳、お肉取ってあげるからお皿頂戴?」
「おっさんきゅー」
「淳ちゃんのは僕が取るから、優ちゃんはそこのバカの分取ってあげなよ」
すんげー王子スマイルなのに貴也への毒舌はかわらねーのな。
笑えるわ。
「貴也、バカって言われてるぞ。あ、否定できないか、すまん」
「お前ら2人して俺の扱い悪くない!?」
「普通だよー??ね、淳ちゃーん」
「あのさー涼太、その、淳ちゃんてやめてくれない?」
「何でー??」
「いや、俺男なのにさ、女の優とちゃん付けで呼び方一緒って、おかしくね?」
これは前から思っていた。
俺はちゃん付けされるのがあまり好きじゃないし、女だってみんなの前で言われてるみたいで何か…うん。
まぁ、こんなんでやめてくれるわけないか………
心の中でため息を付いて涼太が取ってくれた肉と野菜を口に運ぶ。
「淳ちゃん、僕………ちゃん付けやめるよ」
「だよな、だと思った。そんな簡単に………またこのパターンか…俺何回こういうの繰り返してんだ?って、まじで!?」
「うん、別に、苦じゃないし」
「あ………ありがと」
拍子抜けだ。
俺は今けっこうなアホ面だと思う。
「淳て、谷と仲良くなってからアホになったよなー」
「お前にだけは言われたくねーよ」
俺が貴也といつものやり取りをしていると、優が口を開いた。
「淳て何か、うーん…」
「何?」
「怒らないでね?」
「優に腹がたったときは貴也に当たるよ」
「何でだよ!!」
貴也のツッコミは無視。
「で、何?」
「淳て、すごく顔綺麗だし、男子にしては細身で、足も綺麗だからさ、女装似合いそうだなーって」
てへっみたいな顔して言う優。
俺は右にいた貴也を無言で優を見ながらひっぱたいた。
「だって淳て美男じゃない?だから似合うんじゃ…」
バシッ
「ゆ、優さん……それ以上こいつに言わないで…」
貴也が痛そうな声を出しながら言う。
「ま、俺は何でも似合うんだよ。っていうかこの話終わり!やだ!」
「ふふっ淳たら、照れてるの?」
くすくすと笑って言うのは優じゃなく、涼太。
ちゃん付けされなかったらされなかったでなんか違和感が半端ない。
「涼太、やっぱちゃん付けがいい」
「え、何、いきなり…」
「なんか、違和感がすごくあるからさ」
「珍しいな、淳がそう言うなんて。谷、貴重なことなんだぜ?」
「貴也うるさい。」
「淳!俺にもっと優しくして!」
「やだよ」
ふと涼太を見るとすごく優しい顔で笑っていた。
なん………だかなぁ………
うーん……
「涼太って………変なやつー。」
「淳のこと好きっていう時点でおかしいよ」
「貴也、あたしも淳大好きよ?」
「そりゃ俺も好きだよ?でもさ、抱きつくほどではねーだろ?」
「お前に抱きつかれたら俺たぶん終わるわ」
「お前………抱きつくよ!?」
「優ちゃん、なんでこいつなの?もっと他に良い奴いるだろうに………」
「…………へっ?」
優は情けないこえをだすと見る見るうちに真っ赤になっていった。
「か……かわい…」
何だこいつら。
お互いが赤面になってやがんの。
「涼太、俺ら邪魔みたいだし、どっか行こうぜ?」
「そうだね、淳ちゃんとデートしてくるよ」
「キモい。あ、優、貴也に変なことされたらすぐ叫べよ?俺がぶん殴ってやるから」
「えっちょ、じっ淳てば!!」
「優…こっち来いよ。」
「…………っ」
あーあ、お熱いことー
俺は後ろでいちゃついてる貴也と優を見ていた。
「じゅーんちゃんっそんなに見ないの!」
涼太がそう言って俺の肩をつかみ前に向き直した。
しばらくは帰れそうにないなー。
「涼太、あそこの岩らへんに座って時間潰さね?海も見えて綺麗だしさ」
「うん、いいよ」
はーぁ、なーんか貴也が遠く感じる…
なんなんだこれー。
「寂しいの?」
「んぁ?」
「貴也が自分から遠ざかってる気がしたんじゃなくて?」
「お前何なんだよ…どんだけ人の心読めば気が済むんだ…」
「僕、好きな人以外はそんなことしないし」
「お前…いつから俺が女だって気付いてた?」
「えっとね、高1の冬ぐらいかな?貴也が淳ちゃんに、女なのにモテモテだなって言ってるの聞いちゃったんだよ。その前から薄々勘付いてはいたから、貴也の言葉が決定付けたんだ。」
あんのバカ貴也めっ
はぁ…
何やってんだ俺は…
「ねぇ、何で僕の前でも淳ちゃんは自分のこと俺って言うの?」
そんなの…気にしたことなかった…
中2の後半ぐらいからずっと俺って言ってたし…
「慣れ……じゃね?」
「喋り方も、口悪いし。」
「んなもん…しゃーねーじゃん?」
「僕が直してあげるよ」
「は?んなのできるわけ……」
「じゃぁ、淳ちゃんが女って知ってる人の前では自分のこと私って呼ぶ…とか。」
「ななっ何言ってんだよ!」
「だって、女の子なのに俺はおかしいでしょ?」
「めんど…………」
「じゃぁねー………」
そう言って少し考え込む涼太。
くそ。
背が高いし見た目が大人びてるから俺よりかっこよく見える………
「あっ!」
俺が涼太を見ていると、いきなり何かを思いついたように手をポンッと叩く。
「な…何だよ?」
あー。
俺の本能がヤバイって言ってる気がするよ……
すんげー嫌な予感………
「ねね、淳ちゃん!淳ちゃんは、僕と貴也のバカの前ではちゃんと自分を私って言うことっ。それができなかったら僕がチューしてあげる。あ、あとね?みんなの前でも言葉遣いぐらいは良くできるでしょ?だから、言葉遣い悪くてもチューするからね!」
……………なーんでこいつこんなキラキラな笑顔で言ってんだろー。
何?
涼太と貴也の前では私?
言葉遣いは丁寧に?
できなければキス?
おうおう。
随分と軽く言ってくれるじゃねーか。
「………………って、アホかー!!!ざっけんじゃねーよ!朽ち果てろ!この僕っ子変態クソやろ………むぐっ」
俺が散々悪口を言うと何か柔らかいものが俺の口を塞いだ。
ってうおぉぉぉぉぉぉぉおい!!
やめろやめろやめろやめろやめろー!!!!
俺は必死にもがいて涼太を突き放す。
「ぷはってんめーふざけんじゃねー!!」
「淳ちゃんが口悪いのがイケない。それに2回目なんだから照れることないじゃん?」
「ふざけんな!2回目ってなんだ!勝手にほっぺにキスして次は唇か!死ね!死ね!死ね!うおぉぉぉえッ」
だめだ、顔が熱い!
焼けるぐらい熱い!
「フ…………淳ちゃん、嫌がってる割には顔真っ赤だよ?」
「ううう、うるさい!誰だってこうなるだろ!不意打ちだぞ!」
「まったく、可愛いんだから。怒るよ?」
「俺が怒られる意味だろ!ふざけんな!!」
ヴーヴーッ
テンパッている俺の携帯がなる。
開いてみると、そこには貴也からのメール。
『俺ら散歩してくるから戻ってきて俺らの荷物見といて。』
あーーーー。
俺はまだこいつと2人でいなきゃいけないのか…………
死ぬ。
とりま戻らなきゃ……
俺はフラッと立ち上がる。
「淳ちゃん?」
「貴也が優と散歩してくるから戻ってきてくれって。」
俺は口を手の甲で抑えながら俯いてそう言った。
「わかった」
優しい声が聞こえてくると思った瞬間、涼太が俺の手をとる。
「は!?」
「僕ずっと淳ちゃんと手繋ぎたかったの。我慢してたのッ」
僕ずっとオヤツ食べてなかったの。我慢してのッ
的なノリで言いやがったコイツ…………。
ざっけんじゃねーよ!
ただでさえさっきので震えてきてんのにぃッ
情けねぇ……………。
俺はチラッと俺の手を引く涼太を見る。
あれ…………?
何となく、頬赤い?
いやいやいやいや。
自惚れるな俺。
そんなはずない。
涼太は俺をからかってるだけ!!
ふおぉぉぉぉぉお!!
俺は心のなかで変な奇声を発した。
「…………ちゃん?じゅ…ちゃん、淳ちゃん!!」
「うおっ!な、何だよ…ビックリすんな………」
「いやいや、テント着いたよ?大丈夫?」
「大丈夫じゃない。お前のせいで最悪な気分だっ」
そう言って俺は座り水を飲む。
「淳ちゃん照れてるでしょ」
「ゴホッ!」
もーやだ…
水でびじょびじょ…
くそっ
もぉ泣きたい気分だ…………
俺は渋々自分のバッグの中からタオルを出し拭き始める。
「はぁ……俺そこら辺行って着替えてくるわ…」
「じゃぁ僕も行くよ」
「何でだよ」
「誰かに襲われたら大変でしょ?」
「俺、お前に襲われそうで怖いんだけど」
「僕がそんなことするわけないじゃん」
ケラケラ笑いやがってー!
どんな変態よりお前の方がこえぇよ!
「とにかく俺は大丈夫だから」
「じゃぁテントの中で着替えなよ。それなら良くない?」
「チッわかったよ!」
俺はテントの中に入り、入り口のファスナーを閉め、着替えをする。
まぁ別に、涼太の前で着替えてもタンクトップ着てるから何も問題はないが………が!!
何か見られるの嫌だからテントの中で着替える!
着替え終えると俺は外に出てバーベキューの片付けをする涼太を手伝う。
「なぁ。」
「ん?なぁに?」
きょとんとした顔をする涼太。
「お前…ホントに俺のこと好きなのかよ…」
「はぁ。呆れる」
「はぁ!?」
「僕が呆れた理由。1つ、僕にチューされてあんだけ真っ赤に染まっときながらまだ自分を"俺"って言ってるところ。2つ、淳ちゃんはバカってこと。」
「1つ目は俺が悪いが2つ目は納得いかねぇな」
「だって淳ちゃん、僕が好きな子以外は興味ないって言ったの忘れたの?」
「………………あー…ほんの数十分前ぐらいに言ってたな…そんなこと………」
「はぁ。僕結構傷ついてるんだけど?どうしてくれるの?」
「謝る。すまんかった。」
俺はドーンと胸を張り謝った。
「何で胸張ってんのさ…」