私の心を彩る君
考え込んでも思い出せない。
すると、バタバタと足音が聞こえ、白衣を着たおじさんとナースのお姉さん、そしてさっきの女の人が入ってきた。
そしておじさん先生が笑顔で優しく尋ねる。
「染谷海さん、ここがどこか分かりますか?」
「病院…ですよね。」
「そうです。頭痛いとか、気持ち悪いとか、体の調子が悪いところはありますか?」
「いえ、ありません。」
「そうですか、でも、一応この後検査しますね。」
先生は少しほっとしたようにそう言った。
「良かったわ海、何もなくて!」
その横で喜ぶ女の人。目が覚めた時からいるけど…
「あの…あなたが病院に運んできてくれたんですか?」
と、私は思ったことをそのまま尋ねた。
その途端に、まるで時が止まったかのように動かなくなったその人と先生とナースさん。
何?違うの?じゃあその人は誰?
「な…に言ってるの海。あなたって読んで、まるで他人みたいじゃないの。」
そう言って、苦笑いする女の人。
他人…じゃないの?
「ごめんなさい。あなたは…私の親戚かなにかですか?」