オトナの女
あの決意から、一週間がたった。
島田先輩のアドバイス通り、私なりにファッション雑誌や、女性誌を読みあさり、エロイ女になろうと日々励んでいる。
さりげない露出……チラリズムに男は弱いと聞けば、ブラウスを谷間ギリギリまであけて出社。
そして、先輩のデスクに向かうと、少し前かがみになってクールに書類を渡す。
「し、し、しゆゆ、しゅううう、秀一さん、これ出来ました」
私を見るなり、あんぐりと口をあける彼と島田先輩。
まるで、言葉が出ないみたい。
やだ!もしかして、ドキッとしちゃいました?
ここで、なやましげにクネクネ作戦!
「し、し、しゆゆ、秀一さん、今晩空いてま……!!」
とたんに、隣のデスクから、声を押し殺した笑いが聞こえ出す。声の主は、勿論島田先輩。
そして、それと同時に、ふわりと、私の肩にジャケットが掛けられた。
思わず先輩を見上げると、優しい口調で小さく言った。
「身なり、整えておいで」
一瞬、言葉が出なかった。
少しでも先輩を惑わせたいと思った私の気持ちは、空回りしていたみたいに届かない。
力なく「はい……」と返事をすると、言われた通り、化粧室へと向かった。
『……島田、お前だろ?』
『的確なアドバイスをした筈なんだけど……おかしいなぁ』