オトナの女
大きなベッドに寄り添い、私は先輩の腕枕をしながら、その余韻にひたっていると、先輩は、優しく私の頭を撫でながら言った。
「痛くなかった?」
今まで感じた事がない、甘く、穏やかな感じ。
それに、どっぷりつかっていた私は、ハッと、島田先輩に言われた事を思い出した。
「うん。し、しゆ、秀一さんが優しくしてくれたから」
何故か、クスクスと笑い出す先輩。
「もう遅いだろ?ベッドの中で“先輩センパイ”さんざん言ってたし」
「え!?」
恥ずかしさのあまりに、シーツに潜ると、先輩はまだクスクスと笑っている。
「いいよ、先輩で。俺はあまり気にしない方らしいから。それに、その方が、ひなのに呼ばれてる感じがする」
そう言って先輩は、シーツをはいで私を見付けると、優しくぎゅっと抱きしめた。
確かに、先輩の事をみんなは高田さんと呼ぶ。
秀一と呼んでいたのは、きっと結婚する筈だった美香さん……。
「それにしても……ほんとエロイ匂い。ひなのの身体中から、匂ってる」
首筋に顔を埋めながら、先輩が囁く。
「実は、魔法使いのホレ薬なんです」
「ホレ薬って……普通飲ませるものだろ?」
「ええーー!?」
魔法使いの魅惑の香水は、確かに私に魔法をかけてくれました。
王子さまと、ラブラブになる素敵な魔法を……。
「魔法使いって、まさか島田……」
「ち、違います!!」
(完)