それだけで、キセキ。
なぜなら、キレイになりたい、 爽太に喜んでもらいたい、そう祈るような気持ちでカラダをケアしてきたのには、もう一つ理由があるから.........



「ねぇ、俺と初めて会った日のこと、憶えてる?」

「もちろん。」

「忘れる訳ないか。」

「うん.......。」



その日、付き合い始めたばかりの彼氏に二股をかけられていたことが判明した私は、かなり荒れていた。

それほどそのオトコに夢中になってはいなかったから傷は浅かったけど、自分の男運の無さに嫌気が差し、仲の良い女友達二人と一緒に、文句タラタラ、結構な量のお酒を煽っていた。



しばらく愚痴を聞いてもらっているうち、スッキリした気分になって、調子に乗って更に飲んでいたら、一緒に飲んでいた陽子の彼氏が、後輩を二人連れてやって来た。

まぁ、陽子の行きつけの店で飲んでいたから、十分有り得ることなんだけど。

で、そのうちの一人が爽太。

酔いが回っていて、残念ながら最初に自己紹介された内容の記憶があまりないんだけど、爽太の醸し出す柔らかい雰囲気に、妙に安心したのはよく憶えている。
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