あの夏のキミへ
第九章  疾走
職員室を出て1棟に戻り、階段を降りる。

靴箱から靴を取り出し、地面に放り投げ足を押しこんで雨空の下に飛び出す。

外は土砂降りになっていた。

空はさっきよりも濃い灰色で覆われている。

まるで…わたしの心を映したみたいに。

学校のすぐ前には、若葉高等学校前という字が書かれたバス停がある。

すぐにバス停にかけより時刻表を確認する。

メモに書かれた病院、若葉大学付属病院行きのバスが次に来る時間は…

震える指、滲んでいく視界でなんとか時刻を探しだす。

………次は、1時58分。

少し離れた学校の時計を見ると、今は1時半。

あと30分近くある。

どうする………?

待っとくか?

でも今のわたしにはバスを待つ時間1分1秒が長く感じて、もどかしい。

バスに乗ったとしても、まだあまり状況が飲み込めてないためソワソワして落ち着かないであろうと考えた結果、待たないことにした。

…走って行こう。

若葉大学付属病院ならたしかここから3、4キロぐらいだと思う。

小さい頃にはしゃぎすぎて骨折して入院したことがあっから、よく覚えている。

自分でも不思議なくらい冷静に考えているわたし。
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