あの夏のキミへ
「はい?」

キレイな声で、なぜか安心できるような声だった。

その看護師はこちらに顔を向ける。

女性らしい端正な顔立ち。

白い肌。

栗色のショートカットの髪。

でも女性らしい容姿だからと言って、そこに弱々しさはなく、第一印象は…"程よい真面目さがあり、仕事ができる女性"って感じだった。

その姿に見とれていると、"どうしたのかな?"って顔を覗きこまれた。

「えっと、ひ、東病棟ってどちらですか…?」

「あ、東病棟?私、東病棟の看護師なの。ちょうどいいわ、一緒に行きましょ!」

見た目のイメージとは少しかけ離れた優しい笑顔。

「こっちよー」

細くて長い足で歩き始めた。

私も後を追って再び歩き出した。
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