あの夏のキミへ
それからわたしと看護師さんと理央ちゃんという子以外はみんな4階で降りてしまった。

ようやく5階に着き、理央ちゃんは慣れた手つきで点滴台を押し、さっさとどこかの病室に消えていった。

わたしと看護師さんもエレベーターを降り、5階に足をつけた。

「さぁて、わたしたちも行きますか。と言ってもすぐそこなんだけどね」

テヘッとでも言うかのように目の前のナースステーションを指さす。

5階に着いてからますます明るくなった看護師さん。

「お見舞いの時にそんな顔してたらだめだかんね!」

あ…わたし知らず知らずのうちに表情が兼悪になってたのかも…。

それを察して明るく振舞ってくれるなんて、看護師さんってすごいや…。

ここは病院だ。

亡くなる命も少なくない。

でもそんな状況で明るく振舞えるなんて、きっとメンタル強いんだろうな…。

エレベーターの中でだって、患者さんたちに声掛けてたし。

ホントに、すごいや…。
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