あの夏のキミへ
…よく考えればいろいろあった。

新品のような制服だって、

時々見せる悲しい表情だって………

……全部、病院のことがあったから。

きっとその時には既にあと2ヶ月だということを知っていたに違いない。

でもわたしはそんなことを知らずに、死にたいだの楽になりたいだの蓮を傷つけるようなことばかり言ってた…。

わたし、結局は現実から逃げていただけなんだ…。

「…うぅぅっ……グスッ…………うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ついに嗚咽が慟哭へと変わった。

「落ち着いて!落ち着いてね!」

看護師さんがわたしを宥めてくれるが、そんなの効かない。

蓮があと余命2ヶ月であるという悲しみ

蓮に最低なことを言ってしまってたんだという罪悪感

辛い現実に向き合っている蓮とは対照的に現実から逃げているという情けなさ

それらが全て自分への怒りへと変化した。
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