あの夏のキミへ
わたしはそう言って、再び顔を持ち上げた。

蓮は、ホントに嬉しそうに笑ってた。

そして、ありがとうってわたしに囁いた。

蓮...どうしてあなたはそんなにやさしいの...?

わたし...もう、止まらないよ...

そのやさしさに、甘えちゃっていいかな...

そしてわたしは躊躇いがちに、蓮に一番伝えたかったあのことを口にした。

「蓮...スキだよ...スキ...」

こんなこと言える立場だって思ってない。

でもこの気持ちを伝えないで終わっちゃうと、蓮がどこか遠くへ行ってしまうんじゃないかって...怖かったんだ。

蓮はやっぱり驚いた顔をしていた。

そりゃそうだよね...。

もう今更拒絶されるのが怖いなんて思わない。

ただ、伝えたかっただけなの。

でも次の瞬間蓮の表情はいっきに明るくなって、こう言ったんだ。

「俺も...光がスキ。」
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