あの夏のキミへ
だんだん気まずい雰囲気になっていく。

また窓から顔を出してみると、線路の途中に小さなものが見える。

…駅だろうか…?

『間もなく潮風駅に到着します。ご乗車ありがとうございました』

やっぱりそうみたいだ。

タイミングがいい。

海辺の駅だからなのか、潮風駅という駅名には納得した。

電車の速度はキーーっというブレーキとともに遅くなっていく。

わたしは早くこの気まずい雰囲気から脱したかったが故に、急いで立ち上がった。

しかし、まだ減速している途中のため、電車はゆらゆらと小刻みに揺れる。

そのため、つまずかないように、つまずかないように、と唱えながら席を離れようとした。

…のだが、一歩目を踏み出した瞬間に電車が大きく揺れて、派手にバランスを崩した。
< 19 / 135 >

この作品をシェア

pagetop