あの夏のキミへ
浜辺に着くなり、わたしはすぐに乾かすために無造作に広げられたジャケットを触ってみる。

しっとりと湿っていた生地がこの短時間でからっからに乾いていた。

ついさっきまで照りつけていた太陽の熱が微かに残っている。

大体日が暮れてしまったからか、カッターシャツとスカートでいるには少し肌寒い。

スカートの下の肌にも鳥肌が立っている。

「早く食おーぜ」

後ろから声がしたので振り向くと、蓮も肌寒かったのか、既にジャケットをはおっていた。

わたしも急いでジャケットに袖を通し、蓮のもとへかけよった。
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