あの夏のキミへ
今度こそラムネの瓶を口につけ、ちびちびと飲み始めた。

シュワシュワとした泡が、わたしの口の感覚を刺激する。

今まででのどが渇いていたためか、普段飲んでいたものよりも数倍美味しく感じた。

そこでふと顔を上げて海を見ると、日は完全に落ちたはずなのに、波の動きに合わせて無数のキラキラとした粒が水面でゆらゆらと揺らめいている。

なんだろうとわたしは首を傾げる。

すると突然隣に座っていた蓮が、ぼふっという音を立てて砂浜の上に仰向けになった。

「なっ！…何してんのよ！」

慌てて蓮の顔を見る。

しかし蓮は驚いているわたしには見向きもせず、ずっと空に釘付けだ。

「…見ろよ」

「えっ、」

「…星が……キレイだ」

そのとき見た蓮の表情は、今まで見た中で一番穏やかで、優しい表情だった。
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