あの夏のキミへ
あんなに決意した死にたいって気持ちがいとも簡単に崩されてしまうなんて…。

そんな自分が恥ずかしい。

「…光はもっと自分をさらけ出すべきだと思うぜ?」

「…でも…、誰もわたしを必要としてもないし…ずっと、1人。小さい頃は自分が世界の中心のような気がしてたのに…今となっては、違う気がするよ…。」

「…っ、ふはっ」

蓮がいきなり笑い出した。

いつもならイラッとくるはずなのに、なぜか今だけは…蓮にだけは不思議とその感情は芽生えなかった。

「なんで笑うの?」

「光って面白いな!過去でも現在でも、生きてさえいればいつでも…世界の中心は自分以外の何者でもないんだぜ?人間ってのは、みんな世界の中心でしか生きられない。」

きっぱりとそう言いはった。

その瞬間、ドクッと勢いよくわたしの心臓がはねた。

ずっと、くだらないことを理由に死にたいと思ってきた。

でも今、その核心をつかれた気がして、なんだか少し、怖くなった。
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