あの夏のキミへ
どう…すればいい…?

このままだと蓮がどこか遠くに行っちゃう気がして…。

「…っ、………蓮?ま、待ってよ!」

それでも振り返らずに歩き続ける。

…聞こえなかったのかな…

5メートルほど先を歩いていた蓮を急いで追いかける。

「…ねぇ、…」

わたしは蓮の真新しい制服の裾をつかむ。

ようやく蓮は立ち止まった。

それでも何も言葉を発さない。

っていうか、引き止めたのはいいんだけど、いきなり何か隠してない?って聞くのも変だ。

「あのさっ…その……」

制服をつかんだまましどろもどろしていると、蓮はくるっとわたしの方を向いた。

その途端制服をつかんでいたわたしの指がするりとずり落ちた。

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