あの夏のキミへ
なにやら後ろからがたんごとんと音が聞こえてきた。

後ろを振り向くと、線路の向こうから駅に近づいてくる電車が見えた。

来る時とは逆の方向からだんだん減速しながら走る電車。

車体の色やデザインからして、昨日と同じ電車のようだ。

「ちょうどいいところに。あれに乗って帰ろうか」

「…うん……」

本当は帰りたくないよ。

ずっとここにいたい。

でも、いつか折れて現実に戻らないとずっと一緒だから…

諦めるしかないのかな。

我ながらたった1日でちょっとだけなにかが変わったと思うのは気のせいだろうか。
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