あの夏のキミへ
だんだんと空から落ちてくる雨の量が増え始め、サーッという音と共に水滴が地面を跳ねる。

服が濡れちゃうと思い一瞬焦ったが、蹴られたために泥が付着して今更焦ったって意味がないことに気がついた。

体中の痛みに耐えながら近くのベンチに掴まってゆっくりと立ち上がる。

しかし思っていた以上に体がヨレヨレになっていて、立ち上がりそうそうふらついてしまった。

足を見るといくつもの青いアザが生々しく残っていた。

それでもわたしは立って歩かなければならない。

なぜなら…たった今、行かなければならないところができたのだから。
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