あの夏のキミへ
…………あれ?

しかし、いつまで経ってもわたしの足は踏み出そうとしない。

自分の体なのに、まるで下半身だけ独立したように動かない。

……………動け。

動け

「動いてよっっっ!!!!!!」

たまらなくなって思いっきり足を叩く。

その時わたしは初めて気づいた。

足が、ガタガタと震えていたことに。

「なっ、なんで震えてんのよ!!!」

答えてくれるわけもなしに、わたしは必死に自分の足に怒鳴りつける。

それでも震えは止まらない。

驚いて手のひらをみる。

……なんで。

「なんでぇっ!!」

そう叫んだ。

その瞬間、見つめていた手のひらに雨とは明らかに違う温かい水が落ちてきた。

えっ……………

わたし、泣いてんの………?
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