あの夏のキミへ
れ……ん……

…れん

蓮。

……………わたし、ホントは死にに来たんじゃないのかも。

心の中ではわかってなくても…わたしの体はちゃんとわかってたのかな…?

……いや、違う。

違うんだ。

ホントは心のどこかでも思っていたのかもしれない。

ここに死にに来たら、あの日のように後ろから「おい」って声がして…

また、わたしの自殺を止めてくれるんじゃないかって…

また、会えるんじゃないかって…

バカみたいな考えだけど、少し期待してたんだ。

でもいつまで経っても後ろから声がかかってくることはなくて…

「グスッ…れ…ん…、会いたいよぉ…っ」

夏の雨空の下、わたしは冷たいコンクリート上に座り込んだ。

殴られた体の痛さも忘れて。
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