桜*フレーバー
花便り

それはあまりにも唐突な告白だった。


「オレ……実は魔法使いなんだよね」


幼なじみの羽鳥怜央(はとりれお)は今たしかにそう言った。

一方、それを聞いたあたしは、手にしていたマグカップをあやうく落とすところだった。あぶないあぶない。


「はい? 今、なんて?」


眉をひそめ、なにバカなこと言ってんだと、多少軽蔑を込めた目で彼を見つめる。


「だから、魔法使いなの」

「誰が?」

「オレ」

「えーとごめん。何言ってるのか全然わかんない」



さかのぼること数十秒前、怜央は妙に真剣な表情で話を切り出した。


『今まで黙ってたけど、言わなきゃいけないことがあるんだ』――と。


そんな前フリの後に続いたのがさっきの“魔法使い宣言”だった。


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