桜*フレーバー
花嵐
***

それから3日後――土曜の午後。

あたしは友達の保奈美(ほなみ)とカフェで会っていた。


「え? 怜央くんが魔法使い? なにそれ? 新手のギャグ?」


きゃはは、と大声で笑う保奈美。

会話のながれで、引越しの日のことを話してるうちに、怜央の話題になったのだ。

とはいえ、告白されたことと、キスされそうになったことはとても言う気にはなれないけど。


「ね? 何いってんだ、って感じでしょ?」


でもさ、とあたしはほんの少し身を乗り出す。


「怜央、あたしの目の前で牛乳を出したの。空っぽのピッチャーに手のひらをかざしたら、中に牛乳が入ってたんだよ」


あたしがそう説明すると、保奈美は驚くというよりは、むしろ納得したような顔をした。


「あー。なるほど」

「え? なに? もしかして、保奈美、なにか知ってるの?」

「ま、ね」

「えー。もったいぶらずに教えてよー」


フフッと笑みを浮かべてから、保奈美が言う。


「怜央くん、マジックバーでバイトしてるっぽい」

「マジック……バー?」

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