桜*フレーバー
夢見草
「なんて顔してんだよ」
優しい声でそう言われた途端、あたしの中で何かがはじけた。
「怜央~」
彼にしがみついて、泣きじゃくる。
太一の前では体裁ばっか気にして、最後までカッコつけていたのに。
怜央の前では、自分をよく見せようなんて少しも思わなかった。
だって、怜央はカッコ悪いあたしのこともいつだって受け入れてくれた。
頭ボサボサだし、涙で顔はグチャグチャだし、下手したら鼻水だって垂れそうになってるけど。
それでもあたしは怜央の胸を借り、子どもみたいに泣き続けた。