常備~カノジョ~【短編】
「キスしたいんだ」



恥ずかしいなんて気持ちは、どこかへ行ってしまった。



「ダメか?」



瞳に涙が浮かんでいるのが分かって



「ごめん…泣かせるつもりじゃ…」



“なかった”



そう言おうとしたら…



凜が思い切り背伸びして俺にキスした



頬じゃなくて唇に



固まってしまって動けない俺に



「仕返し。」



と言って意地悪そうに笑っている



あーもう…



ヤラレタ。



どうしてくれようかこのヤロウ。



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