近頃、天然野郎が可愛く見えて仕方がない
「あれ、サチじゃないか」

あぁ…見つかりたくもなかった奴に見つかってしまった…。

「なんでここに?」

とぼけ顔で尋ねる峰吉真尋。
つかこっちが聞きたいっての。

「それはあたしの台詞なんだけど…。てかアンタ、それ何?」

さっきから気になっていた、峰吉真尋の足元にいる黒猫。
その猫はスリスリと足に擦り寄る。

「何って、猫だけど?」

「知ってるっつの!なんで猫がここにいるのかって聞いてんの!」

こいつ…バカなのか?それてもアホ?

あぁ…と笑いながら頭を掻く峰吉真尋。
照れ笑いというやつ?

「さっきここで見つけてさ。あまりに可愛いからつい相手しちゃって…。動物大好きなんだ、俺」

巨体のくせに可愛いところあるんだな。
そりゃ偏見か。

「あ、あっそ。てかもう放課後だから帰った方がいいんじゃない?」

無愛想な雰囲気を装って追い出そうとするあたし。

「そうだな。そろそろ暗くなる頃だし、帰った方がいいか。お前はどうするんだ?」

猫を撫でる峰吉真尋。

「アンタが、帰ったらあたしも帰るわよ。だから早く帰って」

「でも女の子1人じゃ危ないだろ。俺、送ってくよ」

……は?
は!?いいしいらないし何ほざいてんのこいつ!?

「なななななんでアンタなんかに送ってもらわなきゃいけないのよ!1人で結構大丈夫!」

身振り手振りで拒否しながらも、顔が赤らむのは自分でも分かっていた。

今まで男子と向き合った事なんてなかったし、こういうこと言われるのも…初めてだったから。

「お前がよくても、俺がよくないんだよ。お前みたいな気が強い奴でも、体は一応女の子なんだから狙われることだってあるもんなんだぞ?」

険しい顔つき、だけど少し心配そうな表情をしながら近付いて来る峰吉真尋。

てゆーか…。

「一応女の子ってなんだよ、“一応”って!!何気失礼な奴だな!」

怒鳴り声で木にとまっていたカラス達が飛び立った。

それもなかったかのようにニコニコと笑い出す峰吉真尋。

「とりあえず早く帰ろうぜ」



「天然野郎むっかつく〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

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