それでも私は同性に恋をする

みかんちゃんとあかりちゃんと出会った日の放課後、私たちは三人で一緒に帰る事にした。最初は友達ができるかドキドキしてたけど、無事に出来て良かった～！
「ゆずっちは何か部活入ってるの？」帰り道の途中、みかんちゃんがそう聞いた。ゆずっちって…なんか照れる。
「うん！水泳部だよ～。」私は答えた。
「あー水泳部！ゆずちゃん筋肉あるけど、いい感じに脂肪もついてるもんね。」
「脂肪あるとか言わないで！気にしてるんだから！」そう、水泳はあんまりダイエット効果がない。こんな事ならテニス部とかの方がよかったなーとか思う。やらないけど。
「ていうか、なんでそんな事が分かって…はっ！もしかして見て分かるくらい私って太ってる！？」
「そんな事ないよ！ゆずちゃんは、とってもスタイルいいと思うよ！私が分かったのは、今朝抱きついた時にだよ～」
抱きついた。その言葉で私は朝の事を思い出し、顔が赤くなる。私がこういうのに疎いだけで、他の女の子は普通なのかな？
「あかりは誰にでもすぐ抱きつくからなぁー」
みかんちゃんの「誰にでも」という言葉を聞いた時、私はなぜかモヤモヤした感情になった。なんだろう、この気持ちなんだろう。
「ゆずちゃん？どうかしたの？顔色悪いよ。」
私の気持ちが顔に出ていたのだろうか。あかりちゃんが顔を近づけて聞いてくる。…っていうか近すぎ！
「だ、大丈夫！なんでもないよ。」
あ～もう私ってなんでこんなに意識しちゃうんだろう。女の子同士なんだから、顔が近かったり、抱きつかれたくらいで照れることないのに。彼女がやっているのはあくまで友達に対するスキンシップ。だから、誰にでも抱きつくからって、嫉妬心を抱く必要なんてないのに。…嫉妬心？私はあかりちゃんに抱きつくかれた、どこかの誰かに嫉妬心を抱いたのだろうか。なんで？
「ねえ本当に大丈夫？」
みかんちゃんまでそう聞いてくる。そんなに私は顔に出やすいタイプなのか。
「私心配だよ。家まで一緒に行くよ。」
あかりちゃんもみかんちゃんも本当に優しいなぁ。二人に声を掛けてもらえて、本当に良かった。でも、これ以上二人に心配をかける訳にはいかない。
「本当に大丈夫だから！心配かけてごめんね。また明日学校で！」
だから私はそう言って駆け出した。実際には、家に帰ってからも、このモヤモヤとした気持ちが晴れる事はなかったのだけれど。