ずっと前から好きだった。
掃除が終わり、美琴は一馬を連れて、家の周りを散歩しに行った。
一馬は美琴に抱っこされて、周りの景色に目をぱちくりさせていた。
-----アメリカとは景色が全然違うことにでも気づいたかな。
美琴は微笑んだ。
散歩の途中に、向こうから見覚えのある制服を着ている、男子生徒がやってきた。
だんだん彼が近づいてくるにつれ、ぼんやりして見えなかった顔がはっきりと見えた。
「................崇彦......」
美琴は小声で呟いた。
そのとき、美琴が他に気を取られていてさみしいと思ったのか、なにか問題があるのかわからないが、一馬が泣き出した。
「一馬〜どうしたのー?」
美琴は一馬の背中を軽くとんとんと叩いた。
そうしているうちに、一馬は笑顔になった。
「........美琴?................」
美琴の近くで声がした。
顔を上げなくてもわかる、これは崇彦の声。
「........ひ...久しぶり?」
美琴は笑顔とともにそう言うが、その笑顔がどことなくこわばっているのを実感する。
「アメリカから.....帰ってきたんだ?.........」
「崇彦はなんで私がアメリカに行ってたってことを!?」
「いろんな人に聞いたんだ。
その子は?................もしかして」
崇彦は一馬のことを見た。
「あー、私の弟っ」
美琴はついつい嘘をついてしまった。