ずっと前から好きだった。
『ねぇ、合格祈願しに一緒に初詣行かない?』
崇彦が美琴にそう言われたのは、新年が始まってすぐのことだった。
-----勉強もはかどっているわけでもないし、行くか。
崇彦は、美琴と初詣に行く約束をした。
初詣はとにかく人が多かった。
崇彦は美琴とはぐれないように、美琴の手をギュッと握りしめた。
「崇彦が無事、志望校に合格しますように」
崇彦は、そう言って隣で手を合わせる美琴を可愛いなと思った。
それと同時に、勉強しっかりやらなきゃな、という気持ちにもさせられた。
「崇彦ならね、ぜったいに受かるよ!」
いつも美琴はそう励ましてくれた。
崇彦が不安になったとき、いつも「崇彦ならね、ぜったいに受かるよ!」という言葉が返ってきた。
しかし、崇彦はプレッシャーに負けてしまった。
-----これで落ちたら、美琴は俺を嫌うんじゃないのか。
美琴はぜったいに受かるよ、なんて言うけど本当に受かるなんて............
「崇彦、心配することなんかないよ!
崇彦はぜったいに受かるから」
美琴がそう言った瞬間、崇彦の中で何かが切れた。