傷ついた羽



「………あの子は昔に比べて変わってくれたのよ?よっぽど凛ちゃんのことが好きだったのね」







「………田中君はいつも私のことを助けてくれました。
辛い時、家族がバラバラになりそうだった時

当たり前のように隣に居てくれて
いつしか私も田中君のことを好きになっていました。だけど」






「………あの子は凛ちゃんの心に傷をつけたのよね?」






「…………最初は恐かったんです。また苛められるんじゃないかって。


だけど、田中君は苛めという罪に気づいて
自分なりに反省をしてくれたんだと思っています。


だからもう私は田中君のことを恨んではいません。


今はただ好きなだけです。」









「…………凛ちゃん。」




「………あなたが許しても私は許しません。」






「!!!!!??お母さん…………!!」






「………なかなか帰ってこないと思ったのよ。
凛、あなたを傷つけた人間にそんな感情を抱く必要なんかないわ。  


帰るわよ。」







「………ちょ………ちょっと待ってよ!
なんでそんなこと言うの?お母さんだって、田中君に救ってもらったじゃない!!!

大体誰を好きになるのかなんて
私の自由でしょ?」






「誤解しないで!!!
あの時確かに救われたわ。だけど私はあの子に助けてくださいなんて頼んでないし勝手に入ってきたんじゃない。

それに、一般的に考えなさい。

苛めをした子と苛めを受けていた子が付き合うなんて考えられないでしょうが。


謝罪一つしに来てないお子さんとなんて
お付き合いさせる訳にはいかないので。」






「…………お母さん…………」
















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