オレ様探偵とキケンな調査
⑤明日の記憶
あれからあたしは何の感情もわかないマンションの部屋で抜け殻のような日々を送っていた。


「いってらっしゃい」も。


「おかえりなさい」も。


そんな会話すらなくなった信吾さんとの日々は、日一日とその日を待っている。


気付いてしまった自分の気持ちと、気付いてしまった信吾さんの左薬指。


クリスマス以来、リングをはずした手を見ても、あたしは何も感じなかった。


誰もいない家、汚れもしないけど毎日習慣になった掃除だけは続けていて。


身の回りの整理をするため、思い出の品や信吾さん好みの服を捨てるゴミ袋だけが増えていく。
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