オレ様探偵とキケンな調査
待たされたのは30分程度、再度、調停室に呼ばれ、書記官から報告書の内容が事実であることと、信吾さんの提示した条件を聞かされる。


「全ての財産、マンションの譲渡をするので、相手の女性への慰謝料については撤回してもらえないか、とのことでした」


「どうして、ですか…?」


「それにつきましては、申し立て人と直接話がしたいと申されておりました」


「直接…」


今更、何を話すというのだろう。


もうあたしと信吾さんの間には、冷たい会話すらない。


なのに話したいことって…竹乃城由香のこと…?


「離婚につきましては双方異論はないようなので、次回からは条件、これについて更に詳しい話を詰めさせていただきます。では、2週間後、またこちらへお越しください」


「はい…ありがとうございました」


淡々と進められた調停だったけど、なぜか心は晴れない。


信吾さんの話したいこと。


それが胸につかえて消えず、あたしは悶々とした気持ちを抱え、マンションへ帰った。
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