オレ様探偵とキケンな調査
───ピンポーン


「ハーイ」


明るく答える女の声に苛立ちが募る。


「どちら様…」


開いたドアの隙間で竹乃城由香が固まる。


「主人、いますよね?」


「ハイ…」


女を通り過ぎあたしはアパートの中へズカズカと入り込み、信吾さんに離婚届を突き出した。


「今すぐサインしてください」


「椿、由香への慰謝料のことなんだが…」


「裁判所の決定通りです。あなたも調停案にサインしたでしょ?早く離婚届に判を押して」


「わかった…」


最後になった“鳴海 椿”の名前。


その薄っぺらい用紙を持って部屋を出ようとしたところ、
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