オレ様探偵とキケンな調査
───ピンポーン


「ハイ…?」


「あの…!」


「どなたですか?」


「佐々倉 椿です…」


───カチャ


「奥さん…」


「急に伺って申し訳ありません。どうしてもあなたと…由香さんとお話がしたくて…」


「どうぞ。お入りください」


由香さんは笑ってあたしを家に上げてくれた。


「すぐにコーヒーお持ちしますので、狭い部屋ですが、お座りください」


「ありがとう…ございます…」


部屋には家から持ち出された信吾さんの背広がクローゼットに収まりきらずに、壁にかけられていた。


寝室の奥には、何も入っていない写真立てと生けた花。


産まれてくるはずだった赤ちゃんの…そう思うと胸が苦しく潰されそうだった。
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