オレ様探偵とキケンな調査
「どうぞ」


小さなテーブルに置かれたコーヒー。


「フフッ…。毒なんて盛ってませんよ?」


由香さんは笑いながらコーヒーに口をつけた。


あぁ…そうか…。


この笑顔のあたたかさ。


そこに信吾さんは惹かれたんだ…。


『能面みたいな顔』って。


あたし、何度も帯金さんに言われたもん、ね…。


「あの、由香さん」


「そのお花、赤ちゃんに…?」


「あ、えっと…。うん、あたしが奪ってしまった、あなたの小さな命に…」


「ううん、違います。奥さんのせいだなんて、あたしも課長も思ってないんです。あの子はね、あたしの罪を背負ってくれた、そう思ってます」


「罪…?」


「はい。あたしは奥さんから2年という時間と課長を奪ってしまいました。懺悔してもしきれない罪。それをね、あの子は1人で背負って召されたんだ、って。そう思ってます。あ、だからと言ってあたしの罪がきれいさっぱりなくなっただなんて思ってなくて。ちゃんと償いはさせていただくつもりです。だから…本当に申し訳ありませんでした」


頭を下げて謝罪を口にする由香さんが、とても近くに感じた。
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