オレ様探偵とキケンな調査
あたしは普段、間接照明だけの部屋中の電気をつけ、お弁当の下ごしらえを始めた。


小松さんの好きだって言ってたエビフライ。


帯金さんのこだわりの肉じゃが。


明美さんに食べてもらいたい卵焼き。


お米もたくさんといで準備を済ませ、翌朝、仕上げてきれいに4人分のお弁当箱につめ、あたしは明るい気持ちで家を出た。


電車を乗り継ぎ、しっかりと地に足をつけて事務所へ続く階段を上がる。


「ふぅー…」


2回深呼吸を繰り返し、


───トン、トン


「はい。帯金探偵事務…あ、これは鳴海さん」


「改め、佐々倉 椿です」


「どうぞお入りください」


「ありがとうございます。おじゃましまぁす」


久しぶりに訪れた事務所はあたしが片付けて以来、誰も何も手をつけていないせいか荒れ放題。
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