オレ様探偵とキケンな調査
春の桜が八分咲きの頃。


椿は何を思い詰めているのか、始終俯きながら上野公園へ向かう姿をオレは尾けた。


遠くから人混みに紛れて見ていると、見頃の花から少し離れたベンチに椿と小松のオッサン。


あんなに泣いて。


何を話しているんだろう。


裁判所へ足を運ぶことがなくなったから、離婚が成立したことには間違いないはず。


じゃあ、何故まだ椿は泣かなきゃならない?


椿がベンチから離れたのを見計らって、オレはオッサンに声をかけた。
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