オレ様探偵とキケンな調査
「あの…!」


「…?」


不意にかけられた声に顔を上げると、ブレザーを着た高校生が立っていた。


「大丈夫ですか…?」


「え…?」


「血、滲んでますけど」


「あ…」


見ると両腕ともカーディガンの袖は血まみれ、散々な始末だ。


「ずっと見てたんですけど、ボク、猫怖くて手伝えなくてスイマセン」


「あ、ハイ…大丈夫です…」


眼鏡の奥の甘いマスクに見当違いな答えしか出せないあたしって…しかも相手は高校生だし。


「その猫、連れて行くんですか?」


「うん、事務所の方に…」


「その手じゃ無理だろうから、ボク、持ちますね?」


「ううんっ、いいの!平気だから」


「持ちます。ついでに家、寄ってもらえませんか?」


「えっ!?」


「いやっ、そのっ、変な意味じゃなくて!家、外科の医院やってるんで、手当を」


「でも…」


「放っておくと、ひどい場合は切断ですよ」


「せ、切断!?」


「膿がたまる前に手当を。行きましょう」


「ハ、ハイ…」
< 165 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop