オレ様探偵とキケンな調査
バンビーノちゃんのゲージを持ってもらい、歩くこと数分。


住宅街の中の白い小さな医院に通りすがりの高校生は入って行った。


「どうぞ、入ってください」


「おじゃま…します…」


古いけど清潔に保たれた医院。


ウチの事務所とは大きな違いだな…。


「父さん、いる?急患なんだけど」


「あいよー」


奥の診察室から顔を出したのは、50代前半くらいの白髪の目立つオジサンだった。


「あら、あら。どうしたんだい、その腕」


「猫に噛まれてしまいまして…。通りすがりの息子さんに助けていただきました」


「猫?そりゃ大変だ。すぐ手当するから、こっち」


「ハイ…」


奥の診察室の丸椅子に座り、カーディガンを脱ぐ。


キャミソールから出た右腕6ヶ所、左腕3ヶ所の傷が生々しく血を滲ませていた。


「猫ってね、強い菌を持ってるから甘く見てると大変だよ?消毒するけど、しばらくすると両腕とも倍くらいの太さに腫れると思うよ」


「倍…ですか?」


「もうパンパンにね。痛むけど、ちょっと我慢して」


消毒液をふくませたガーゼがピンセットでチョンチョンと当てられるたび、痛くてあたしは目を閉じた。
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