オレ様探偵とキケンな調査
「これで良ければ、着てください」


「コレ…?」


「ボクのカーディガンです。ちょっと大きいかな?」


華奢に見える颯太くんだけど、袖を通してみるとあたしにはブカブカだった。


「フッ…。大きいですね」


「うん…。でも、借りちゃってもいいの?」


「普段、ブレザーで着ることないから」


「ありがとう」


「ボク、久保 颯太(クボ ソウタ)。えっと…」


「あたしは佐々倉 椿です。改めて、色々とありがとう」


ペコッと頭を下げると、颯太くんは眩しそうに眼鏡の奥の目を細めた。


「いくつ…ですか?」


「年…?」


「ハイ」


「27です」


「えっ!?大学生くらいかと思ってた」


「フフッ…。高校生なりのお気遣い、どーもです」


「いやいや、マジで。ふぅーん…」


「なぁに?」


「いえ、別に。ちょっと話、いいですか?」


そう言って颯太くんは丸椅子を引き寄せ、あたしの向かいに座った。


「いきなりですけど、高校生って、圏外?」


「ケンガイ…?」


「ボク、誕生日きてないんで、ちょうど10コ差。アリ?」


言ってる意味がわからずキョドるあたしを見て、颯太くんは笑った。
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