オレ様探偵とキケンな調査
「上手なんだね?」


「一応、外科医を志す者としては、ガキといえども、このぐらいできなきゃね」


「それより、今日、先生は?」


「母さん連れて、北海道の学会。帰って来るのは明後日で、それまでボクはコンビニ通い」


「そっか」


「もう服着ていいよ」


「うん」


ブラウスに袖を通してボタンを1つずつ止めていくと、颯太くんの指がツ、と伸びた。


「これ、あのオッサンのキスマーク?」


「あ…えっと…」


「そーゆーコト、してるんだ?」


「でも…」


「ん?」


「好きとかそういうこと、言ってもらったこと、ないの…」


「寂しい?」


「うん…」


向かいに座った颯太くんが姿勢を変えて、あたしの隣に座る。


指で、手の平でそのキスマークを触って、颯太くんは同じ場所に唇を寄せた。


「…んっ…」


「もう1コ、キスマーク。これはボクの“好き”の印」


…やられた。


こういうのを“好き”じゃなくて“隙”って言うんだ…。
< 188 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop