オレ様探偵とキケンな調査
相手はどんな女なんだろう。


信吾さんの好みはあたしみたいなタイプなんだ、って。


わかってたつもりになってたのは、結婚してたった半年の間だけ。


ジューンブライドに式を挙げて、その年のクリスマスには、もう隣に信吾さんはいなかった。


「仕事が忙しくなった」って。


日に日に帰る時間が遅くなり、どんなに遅く帰ってきてもあたしは


「おかえりなさい」


って、バカみたいに笑って彼を出迎えた。


「疲れたから、すぐ寝る」


そう言ってベッドに入る信吾さんからは、新しいボディーソープの香り。


少しの間の出来心からの浮気、少しの我慢だ、って自分に言い聞かせてきたけど、出張が多くなったり、朝帰りがほぼ毎日になり、冷たい夫婦関係は、もう2年になる。


うまく誤魔化したり隠したりもしない信吾さん。


“浮気”じゃなく“不倫”なんだ───と。


会話もメールもなくなった2人の時間にどんどん辛さが募って。


苦しくて。


足掻いて。


もがいて。


あたしは毎日泥の中で呼吸するような日々を過ごしてきた。


もう、たくさん…!
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