オレ様探偵とキケンな調査
そんな日々を過ごして、新緑のゴールデンウィーク。


「こんにちはー」


「あ、颯太くん、いらっしゃい」


「また来たのかよ…」


「椿さん、今日もかわいーねっ」


「フフッ…。アリガト。誰かさんは間違ってもそんな事言ってくれないもんね?」


「誰のことだよ?」


「ボクなら毎日言うよ?だからさー、今日、デートしよ?」


「し・ま・せ・ん」


「なーんだ。せっかく椿さんが観たいって言ってた映画のチケット、ゲットしたのに」


「えっ!?“ガラスのタンポポ”!?」


「うん。ボク的にはアクションモノが良かったんだけど、椿さんと行けるんなら、と思って」


「わぁ♪観たい、観たいっ」


「椿」


「あ…。ゴメンナサイ…」


「行ってこいよ」


「…え?」


「坊やには猫の傷の貸しがあるからな。映画くらいなら許可してやる」


「でも…」


「オレの気が変わらんうちに行ってこい。オレには“大人の余裕”ってモンがあるからな」


「ホントに…いいんです、か…?」


「やりぃ♪椿さん、行こっ」


「う、うん…」


ルンルンの颯太くんに押されて事務所を出た。
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