オレ様探偵とキケンな調査
「映画観て、カフェでランチして、その後、椿さん家行っちゃったりっ」


「………」


「椿さん?」


「あ、うん…。そうだ、ね…」


「ねぇ、椿さん」


「ん…?」


「今日はちゃんとボクだけ見て、ちゃんと楽しんでね?」


「そう…だ、ね…」


電車に乗って、渋谷の映画館。


隣の颯太くんの片手にポップコーンと、片手にあたしの手。


せっかく誘ってくれた映画なのに、ちっともストーリーが頭の中に入ってこない。


どうして。


どうして帯金さんは、あたしと颯太くんのデートを許してくれたんだろう。


いつもなら、颯太くんと耳をふさぎたくなるくらいのケンカであたしを困らせるのに…。


試されてるの?


見放されたの?


わかんない…わかんないよ…。


ちょっと肩が重たく感じるのは、颯太くんにまわされた腕のせいじゃない。


あたしの心が重いんだ…。
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