オレ様探偵とキケンな調査
「椿」


「ハイ…」


「オレは椿、オマエを…」


「言わせないよ」


後ろの声に振り向くと、寝室から出た颯太くんが立っていた。


「坊やには関係ねぇよ。オレは椿と話してんの」


「プロポーズのつもり?他に背負ってる捨てなきゃならない荷物抱えておいて、椿さんを、椿さんだけを一生守り通せるの?」


「颯太くんっ!」


「オマエに何がわかる」


「わかるさ。オッサンにはまだ迷いがあるんじゃない?プロポーズの椿さんの返事次第で身の振り方、考えようとしてない?大人ってズルイよな」


「オレには捨てなきゃならないモンなんてねぇんだよ。ただ視点を変えただけだ。オレの子───亨は他の男に委ねるが、一生愛し続けるだけの覚悟はある。何か困ればオレが手を差し伸べる。それを一緒に、オレと共にどんな試練も乗り越えられるだろう椿を生涯のパートナーに、と。それだけの話しだ」


「選ばれた椿さんはどうなの?フツーに違う男を選べばそんなお荷物試練、最初からないわけだろ?好きな女をオッサンの都合で縛って振り回す、それが愛なワケ?」


「椿はお荷物だなんて思う女じゃねぇし。違う男───坊主を選ぶだけの器用さもねぇ」


「つけ込んでる」


「つけ込んでねぇ」


「じゃ、利用してる」


「利用でもない」


「椿さん、後悔するよ?」


「椿は渡さない」


「ちょ、ちょっと待って!2人とも落ち着いてよっ」


「オレは平常心だ」
「ボクは取り乱したりしてないよ」


「2人とも変だよっ。いつも何だかんだケンカしてても仲良いでしょ?どうしてそんなにムキになって責め合うのっ?」


「ボクらは椿さんの将来の話しをしてるんだよ?これは真剣な協議さ」


「違うっ。2人ともあたしをあたしの気持ちなんて見てないっ」


「椿」
「椿さん…」
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