オレ様探偵とキケンな調査
狭い階段を上って事務所のドアを開けたところ、中はヒデくんの泣き声で騒々しかった。
「ヒデくん…?」
「おねえちゃん…!ママが…ママが…!」
ただならぬ雰囲気にあたしと颯太くんは事務所奥の応接セットに急ぐ。
「明美さん…っ!」
ソファーに座り込んだ明美さんの腕からは、血が流れていた。
「見せて」
ただうろたえるばかりのあたしを押し退いて、颯太くんが明美さんの腕を診る。
「何か鋭利な刃物で切られましたね?」
ガタガタと震える明美さんは、ただ頷くだけで、いつもの底抜けた明るさを見せない。
「椿さん、消毒液と包帯を」
「う、うんっ」
救急箱を渡すと、颯太くんは手早く治療を始めた。
「深さはそれほどありませんけど、切り口は10cm程、切った刃物が鋭利だったのが幸いか、治りはそんなに悪くないと思います」
「ありが…とう…」
「ママ…!」
血が見えなくなったことに安心したのか、ヒデくんは明美さんの傍に駆け寄る。
「ママ、ごめんねっ!痛くしちゃってごめんねっ!」
「違うよ、ヒデ。ママが守りたかったのはヒデだけなんだから…っ!」
そう言ってヒデくんを抱き締めて泣く明美さん。
帯金さん、小松さん、あたしと颯太くんは何も言葉をかけてあげられず、明美さんの口が開くのを待った。
「ヒデくん…?」
「おねえちゃん…!ママが…ママが…!」
ただならぬ雰囲気にあたしと颯太くんは事務所奥の応接セットに急ぐ。
「明美さん…っ!」
ソファーに座り込んだ明美さんの腕からは、血が流れていた。
「見せて」
ただうろたえるばかりのあたしを押し退いて、颯太くんが明美さんの腕を診る。
「何か鋭利な刃物で切られましたね?」
ガタガタと震える明美さんは、ただ頷くだけで、いつもの底抜けた明るさを見せない。
「椿さん、消毒液と包帯を」
「う、うんっ」
救急箱を渡すと、颯太くんは手早く治療を始めた。
「深さはそれほどありませんけど、切り口は10cm程、切った刃物が鋭利だったのが幸いか、治りはそんなに悪くないと思います」
「ありが…とう…」
「ママ…!」
血が見えなくなったことに安心したのか、ヒデくんは明美さんの傍に駆け寄る。
「ママ、ごめんねっ!痛くしちゃってごめんねっ!」
「違うよ、ヒデ。ママが守りたかったのはヒデだけなんだから…っ!」
そう言ってヒデくんを抱き締めて泣く明美さん。
帯金さん、小松さん、あたしと颯太くんは何も言葉をかけてあげられず、明美さんの口が開くのを待った。