オレ様探偵とキケンな調査
ハンバーグがフライパンの中で音を立て始めた頃、リビングに明美さんが顔を出した。


「椿ちゃん…」


「もうちょっと待っててね?すぐご飯できるから」


「椿ちゃん、ゴメンッ!」


「もう。明美さん、“ゴメン”はいらないよ?頭上げてよ、水臭いなぁ」


「ウチら…みんなに迷惑かけて…」


「ううん。みんなそんな風に思ってないよ?ただ仲間を守りたいって、自然な気持ちでしょ?」


「うん…っ…っ…アリガト…」


お化粧を崩して泣き笑う明美さんに、いつもとは違う“ママ”の強さを感じた。


思えばあたしはいつだって、人の強さに助けられてばかり。


由香さんの赤ちゃんを思う強さ。


帯金さんのパパの強さ。


今だって、そう。


明美さんのヒデくんを守り通したい、その強さがあたしを安心させる。
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