オレ様探偵とキケンな調査
「ご注文はお決まりでしょうか?」


店員があたし達のテーブルに来たけど、帯金さんはスッと席を立った。


「お客さま…?」


「連れの気分が悪いので、帰ります。オイ、行くぞ」


「あ…ハ、ハイ」


帯金さんはあたしを信吾さん達の死角になるようかばって店を出てくれた。


すっかり暗くなったレストランの外で、あたし達はまた人混みに隠れて信吾さん達を待つ。


「あの…」


「んぁ?」


「もう、いいんですか…?」


「何が?」


「えっと…もうちょっと2人の様子とか…」


「写真、撮っただろ。アンタ、これ以上2人の話、聞いてられんの?」


「大丈夫…です」


「手、貸せ」


帯金さんに言われて、あたしは指輪のついた左手を差し出す。


「冷てぇし、震えてるし。もう限界だろ」


「ちょっと…寒いだけです…」


「バカか、オマエは。雇った探偵の前で強がんな。なんで泣かねぇんだよ」


「えっと…。もう悲しいとか麻痺しちゃってて…。フフッ…なんかおかしいですよ、ね?」
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