オレ様探偵とキケンな調査
───え…?


帯金さん、わざとあたしを笑わそうとして…?


「帯金、さん…?」


「泣いたら手こずるから追加料金請求しようかと思ったけど、笑ったからチャラな」


この人…。


金に汚くて口が悪くてぶっきらぼうな人でしかないと思ってたのに…意外と優しい…?


新しい発見に、胸の奥がきゅっ、となった。


人と話すのも、こんな優しさに触れるのも久しぶりだったから。


「さて、と。メシが終わったらホテルか女ん家だな。アンタ、もう帰れ」


「いえ。あたしも…」


「ダメだ。これ以上、心を壊すな」


「でも、帯金さんが言ったんですよ?確認して気持ちにケリつけろ、って。だからあたし決めたんです。浮気調査に同行するって」


「どんな女が見たかったんだろ?」


「…ハイ」


「見ただろ。もういいだろ。帰ってフランダースの犬観てろ」


「でも…」


「今日まで毎日、旦那が他の女抱いてるトコ想像しては泣いてきたんだろ?たった今から切り替えろ。アンタにもう夫だと言える男はいない」
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