オレ様探偵とキケンな調査
そう───そうなんだ。


あたしは1人。


信吾さんが初めてあの“由香”と呼んだ女を抱いたその日から。


あたしは独りぼっちだったんだ───。


「ケータイ、貸せ」


帯金さんの言葉に、あたしはバッグの中からスマホを取り出し預けた。


「連絡用。番号交換しとくから」


素早く操作されたスマホを返してもらい、


「帰り、気を付けろよ」


という言葉に押されて、あたしは小さく頭を下げて、その場から足を遠ざけた。


帰りにレンタル屋さんに寄って、フランダースの犬を借りた。


1人で帰ったマンション。


暗い部屋の中でソファーの上で膝を抱え、パトラッシュとネロが天国に召される最終話だけを観た。


泣けないあたしは。


やっぱり神経が切れてしまったんだ、と。


虚しさに心を寄せて、ベッドに潜り込んだ。
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