オレ様探偵とキケンな調査
改札をくぐって、あたしはショップを転々とし、新しい服を買って、あの汚い事務所へ急いだ。


───コン、コン


ノックすると、帯金さんが「小松のオッサン」と言っていた年配のオジサンがドアを開けてくれた。


「鳴海様ですね。どうぞお入りください」


「ありがとうございます」


「奥のソファーでお待ちを。ただ今、お茶をお持ちいたしますので」


「あ、おかまいなく。あの…帯金さんは…?」


「社長はただ今、調査で外出中でございます。お急ぎでしたら、連絡いたしますが」


「そう…です、か。あの…」


「はい?」


「ここで待たせていただいてもいいですか?」


「はい。社長も昼には戻るかと」


「じゃあ…おじゃまします」


昨日と変わらず雑然とした事務所。


所々破けた古いソファーに腰をかけてみるけど、家にいるよりよっぽど居心地が良かった。
< 31 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop