オレ様探偵とキケンな調査
「あの…!」


「何だよ」


「えっと…。色々、ありがとうございます」


「は?」


「尾行とか、事務所に置いてくれるとか、お気遣いいただいて…」


「アンタさ」


「ハイ?」


「そーゆー気、遣わねぇで、金使えよ」


「お、金…?」


「手ぶらで事務所に来んなっつってんの」


「はぁ…」


「明日からオレと小松のオッサンの分、弁当持って来い」


「へ?」


「毎日毎食コンビニや立ち食いじゃ、出費もバカにならん」


「それって…」


「当然だろ。アンタは今日からウチの“探偵”だからな」


そう言って帯金さんはあたしに向かって初めて笑った。


不覚にも、その笑顔にドキリとしてしまう。


いつもは鈍く光った鋭い目つきが優しく垂れて、口元からのぞく八重歯。


鳥の巣頭をのぞけば実はこの人…イケメンだ…。


いや、いや。


このトキメキは違う!違うっ!


今まで信吾さんにとっていらない存在だったあたしに、2年ぶりに“必要”だ、と。


価値をつけてくれた帯金さんに対する久しぶりの血の通った感情であって、ですよ…。


この脈の早さには特に意味はない…ハズ。
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